乳頭温泉で、硫化水素による残念な事故が起きました。

鶴の湯の露天風呂も乳頭温泉の一部です。

有名な鶴の湯の露天風呂も乳頭温泉の一部です。

おはようございます。
昨日は秋田の乳頭温泉で、硫化水素中毒とみられる事故で3名の方が亡くなりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

僕も何度も乳頭温泉にはお邪魔していますが、あの有名の鶴の湯の露天風呂があるのも乳頭温泉の一部で、黒湯や蟹湯など数か所に分散している一帯を乳頭温泉、あるいは乳頭温泉郷と呼んでいます。

今回の事故は、乳頭温泉の近くで起きた事故ですが、実際はその下流部の田沢湖温泉で使われている温泉の修理で起きた事故のようです。
ですから、誤解のないようにしたいのですが、今回の事故は乳頭温泉の旅館や施設は関係は無いようです。

さて、この硫化水素中毒って何でしょうか?
火山性のガスでは一般的なガスで、卵が腐ったような臭いがします。
元々、卵が腐ると硫化水素が発生するので、その物って感じですが、目に見えない事に加え、空気より重く毒性が強い気体です。

濃度も10ppmで粘膜などの炎症を起こし、200ppmを越えた濃度で1時間以上とどまると中毒症状を起こし、600ppm以上の濃度では1時間で死亡してしまうほど恐ろしい気体です。
ちなみに1,000ppm以上の濃度だと、ほぼ即死に近い状態になるそうなので、今回もこの濃度を越えていた事が想定されます。

1,000ppmと言っても、パーセント表示だと0.1%ですから、いかに怖い気体だかと言う事が分ります。硫化水素は目には見えませんが、強い臭いのですが、鼻が麻痺してしまうので、更に濃度が上がっても気が付かないようです。

我々のような専門家で温泉を管理する方が、温泉が出ている近くまで行って作業しようとして事故に逢われたようですが、本当に痛ましい事故です。

2005年の12月には、秋田県の尼湯温泉で親子4人が旅館近くの雪のくぼみで4人が硫化水素中毒にかかり、3名が死亡するという痛ましい事故を思い出します。

硫化水素は比重が重いので、たとえば地熱で雪が消えて、トンネル状になっていたり、くぼみになっているような場所に貯まってしまいます。
風が弱いと濃度もかなり高くなり非常に危険だそうです。

今回も実際に作業されている方が事故に逢われたようですが、ある程度の知識があっても、仲間が倒れたりすると、助けようとしてさらに被害者を増やしてしまうという痛ましい側面もあります。

今回は作業員が死亡すると言う被害と、乳頭温泉の施設は全く関係ないのに、報道で乳頭温泉で死亡事故と報道されることによる風評被害という2重の被害がある側面も見逃せません

松之山では硫化水素の報告はありませんが、温泉と一緒に出るメタンガスには注意が必要です。
建屋の場合は爆発する・・・・かも・・・・恐ろしい。
東京でも日帰り温泉の源泉棟が爆発した例もありましたから、全く皆無ではない訳です。

松之山温泉の場合は、ほぼ源泉口でメタンや他のガスを抜いて供給する対策をしていますので、お風呂で爆発する危険は皆無ですが、さらにチェックして用心の上に更に用心して気を付けましょう。

温泉は天の恵みですが、取扱いを誤ると思わぬ事故に遭遇するかもしれません。今回の事故で温泉の従事者が今回の事故を戒めとして、未来に教訓を生かすことが、弔いになるのではないでしょうか。

合掌

タグ:
乳頭温泉
硫化水素

今回も最後まで読んでいただいて、有難うございました。

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